Wizards of the Coast（TSR）
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　ダイヴァース/Dyvers自由国、グレイホーク直轄領とオーク帝国ポマージ/Pomarjを含む地域を主に扱ったサプリメント。Slaversというタイトルは奴隷商人あるいは奴隷貿易船という意味で、全体の背景としてそのような悪人がいたり、歴史があったり、キャンペーンの組立が紹介されていたりするが、ひとまずそれは置いておく。3eユーザーにとって重要なのは地域サプリという側面だと思うので。

　本文の構成は解説される地域ごとに４つに分かれている。The Land of Dyvers/ダイヴァース地方、North Wooly Bay/羊毛湾北部、The Orcish Wild Coast/オーク支配下の海岸、The Pomarj/ポマージ。それぞれおよそ３０ページ程度。範囲にグレイホーク市自体は含まれていない。たぶんThe Adventure Beginsが別にあるから。
　各章のはじめにはそれぞれ２，３ページ程度の概説がある。ここはグレイホーク・ワールドガイドと重複する内容も多い。歴史や種族構成などはより詳しいものであったり、視点の違うものであったりもする。
　ダイヴァースやハードバイ/Hardbyといった各地域の代表的な都市は地図とともにいくつかの施設、主要NPCなどが解説されている。だいたい５〜１０ページ程度。例を挙げると、ハードバイにある宿屋Berei’s Bounty/「ベアレイの恵み」亭のおかみは店の名の通りベアレイを信仰する６レベルのプリースト（クレリック）だとか、同じくハードバイにある酒場Sign of the Tarnished Idol/「古ぼけ偶像のお告げ」亭の女主人はいつも不機嫌そうなハーフオークで真夜中になるとヘプモナランド/Hempmonaland産の偶像を客にも拝ませるとか、結構実用的。軍備についても詳しく、装備や軍の所有する船の数、兵員数、だいたいのレベルまでが（2nd基準だが）記されている。

　ここで重要なことを書いておくと、このサプリでは１インチ＝５０マイルの縮尺の地図がダイヴァースからポマージまでをカバーしている。海岸線沿いを中心に１００人程度の小さな集落や砦、いくつかのダンジョンまでサポートされているが、内陸へ行くと人口４４００人のナーウェルさえ省略されていたりもするので注意。

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　各地域にあるダンジョンや砦、塔などもフロアプラン着きで解説されている。そのままシナリオに使えるもの、PC達の拠点としてつかえそうなものなど多数。そして地図上にある村などについて、それぞれ人口とともに簡単な解説がある。比較的平穏な北の方だとだいたいの村に冒険のアイデアという項目があり、シナリオのネタになるようなことが書いてある。使える。地理についても解説されているが、簡単な説明だけだとやっぱりグレイホーク・ワールドガイドと被りがち。よく読み比べると新しい発見もあるかも。

　このサプリの実用性はイラストにもある。3rdでおなじみの絵師たちが主要なNPCの外見を描いてるし、フロアプランがあるような施設の景色もだいたいついている。自分でイメージする助けになったり、プレイヤーに見せたりするのに便利。
　もう1点、野外での遭遇表がついている。便利。重要！
　ほかにもちょこちょこと、その日の風表や、酒場のうわさ表なんてのもついてたり。

　最後に付録としてポマージの歴史と、同名の半神を崇めるEarth Dragon Cult/アースドラゴン・カルト、若い英雄神ケラネン/Kelanenとマーリンド/Murlyndが解説されている。グレイホーク・ワールドガイドには欠けてる部分ね。参考にもなるかも。
［【灯台】未訳サプリ初心者指導センター：151］