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レビュー
目次
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武器・装備ガイド

 非常に面白いサプリだと思うので内容を紹介させて頂きます。

第一章:武器と防具
 鉄扇、三節棍といった特殊武器、植物が生長して鎧になるムーン・アイヴィーなどの新しい鎧、石器時代、青銅器時代、暗黒時代、十字軍時代などの科学技術に応じた武器や防具、石や青銅をはじめ、猛毒を含むゲヘナ産モルグス鋼、秘術呪文失敗率を下げるブレンデッド・クォーツなどの新しい武器や防具の素材が紹介されています。

第二章:冒険用具
 ここでは、主に魔法のアイテム以外の様々なアイテムや交易品、嗜好品などが追加されています。ゲーム的なボーナスなどもさることながら、エルフの蜂蜜酒、オークの酒”クラック”などの世界に密着したアイテムが魅力です。酒酔いのルール、交易品の需要の度合い、商人の資産レベルなどの新しいルールも興味深いところです。

第三章:乗り物
 私が読んでお勧めの章の内の一つです。まず、乗り物の用い方として、

・てっとりばやい”カメラに写らない”移動方法
 貨物積載量と移動速度から移動に要する帰還を割り出し、輸送費用を算出。

・演出に凝った戦闘のための大道具
 移動速度、機動性、防御性能、激突のルールなどを用いて戦闘を行う。

・キャンペーンの基礎を形作る要素
 乗り物それ自体を核としたキャンペーン。ガレー船からノームの潜水艦、オーソニプターや飛行船などの各種乗り物のデータ、建造、修理、改造、あるいは各種の追加装備のルールを用いてのキャンペーンの運用。

 という三つの使い方がガイドとして示されています。また、サイドバーで「物理学と乗り物」として、本書は物理の教科書でもパイロットの教本でもなく、D&Dのルール内で乗り物の移動や戦闘を表現することを意図していると注記しています。
 その他には、魔法による修理、乗り物用マジックアイテムの紹介など、魔法が存在する世界で乗り物を運用するためのルールやガイドが充実しています。
 乗り物も各種馬車、攻城塔、エルフの乗り物フォレスト・クロウラー、ドワーフのトンネル掘りマシン、ドワーヴン・タネラーなど、シナリオのネタになりそうなものがいくつもあります。

第四章:雇い人とクリーチャー
 雇い人の費用、瞬間移動などの魔法サービスの費用、傭兵の解説と雇用のための注意、ゴブリン、オーガ、ケンタウロスからトリトンといった特殊な部隊の運営費用、注意点などが記述されています。
 また、相棒、ペット、乗騎、警備クリーチャーとして、様々なクリーチャーとの関係構築、利用の為のルールや解説があります。ガーゴイルやマンティコラスを警備に使う時の注意や訓練費用が載っていて非常に面白いです。マンティコラスはボディガードをする際には、敵がどのように自分たちを分割して対象を殺すかを指摘して暇を潰し、依頼人に嫌がられるそうです。当人は、自分が如何に職務に忠実かPRしているつもりらしいのですが。
 乗騎としてはゼラチナス・キューブやヒュドラなども取り上げられており、それぞれ非常に面白いです。ゼラチナス・キューブの場合は特殊なマジックアイテムを使って体内に乗り込むのですが、降りる際に素早く逃げないと、エサと認識されて包み込まれるのだそうです。ヒュドラの場合は、それぞれの頭を別々に訓練する必要があるため、一つの頭を訓練している際には、他の頭を魔法(チャーム・モンスター)などでおとなしくさせておく必要があるのだそうです。
 この辺りのディテールがD&Dの魅力のような気がします。魔法の応用や、豊富な記述の思わぬところでの関連ですね。
 乗騎としては、他にラストモンスターなども上げられていますが、一部のドワーフでは、人懐っこいラストモンスターを飼い慣らし、ハイドアーマーや石のハンマーで武装した騎兵隊を編成しているそうで、第一章の石の武器のルールが関連しているわけです。

第五章:魔法のアイテム、第六章:特殊な魔法のアイテムでは、
 様々なマジックアイテム、呪いのアイテム、アーティファクトなどが紹介され、巻末の宝物表では、追加されたアイテムを含んだアイテム決定表が付属しています。
 七つに分かれたロッド(アーティファクト)など、シナリオのネタになりそうな者が多いのも魅力です。
 「D&Dは英雄的な冒険を主題としており、アーティファクトを探し求め、発見し、使い、また破壊することはキャラクター達が達成しうる他の何にも増して英雄的な行為である」として、アーティファクトにまつわる冒険のアイディアを示しています。
 本書には、豊富なデータやルールとそれを使うための具体的なガイドラインやアドバイスが色々と書かれています。

 豊富なデータや記述から世界を語り、冒険を生み出すというD&Dの面白さを端的に表した楽しいサプリメントだと思います。
[スタンダードTRPG議論スレ130:280〜283]

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