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Wizard of the Coast $39.95
Bill Slavicsek, Jeff Grubb, Rich Redman, Charles Ryan
ハードカバー/A4くらい/384頁/約1.2Kg
公式ページ:http://www.wizards.com/default.asp?x=d20modern
構成
d20 Systemで現代的な背景世界を遊ぶ為のコアルールブック。当然、D&D(d20システム)を知らなくてもこれ1冊でちゃんと遊べるようにできてる。しかもこれ1冊でD&DでいうPHB・DMGを兼ねてるようなものなのでぶ厚いのも当然。
章立てとしては
Introduction
1:Characters
2:Skills
3:Feats
4:Equipment
5:Combat
6:Advanced Classes
7:Gamenastering
8:Friends and Foes
9:Campaign Models
10:FX Abilities
の全10章。6章までがPL用で7章以降がGM用といった感じ。
Introduction
d20 MODERNがどんな位置付けの本なのかの解説、ゲームスタートまでのサマリーなど。
位置付け
スパイ物や警察物などなどTVや映画などでよくある現代風のものをやるためのシステムとのこと。ちなみに「シネママティックなアクションアドベンチャー」あたりを典型としていると書いてある。コアルールなんで特定の世界観(キャンペーンセッティング)はないが、PCは現代社会で特殊機関のエージェントとしてあれこれする、というのを想定してライティングされている。理解を助ける為に、Chapter9のキャンペーンセッティングのサンプルを先走って紹介。
世界観の例
<Shadow Chasers>
いわゆる退魔物。Buffy the Vampire Slayerが例にあがっていた。PCは現代に存在するモンスターを退治するヒーローとして活躍。それ用のAdvanced
Class(D&DでいうPrestige Class)としてShadow ChaserとOccultistが紹介されてる。
<Agent of PSI>
超能力スパイもの? 超人的なスパイとかが、テロリストや世界の脅威に立ち向かう的なノリ。ジェームズ・ボンドにモルダー&スカリーなどがHeroのRoleの例としてあがってるがどうだろう? TelepathとBattle
MindというAdvanced Classが紹介されてる。
<Urban Arcana>
ファンタジーの魔法とモンスターが現代にまぎれこんだ感じ。ぶっちゃけ上記Shadow ChasersをD&Dなどの既存データで容易に再現しようとするとこうなる、といった感じ。Arcane魔法を使うMageとDivine魔法を使うAcolyteがAdvanced
Classとして紹介されている。
1:Characters
キャラクターの作り方や成長の仕方など。基本的なキャラ作成&運用ルールはD&Dとほぼ同じ。ってなわけで違う部分を中心にレビュー。
能力値
能力値の名称や役割、ボーナス算出法、レベルによる上昇など完全に一緒。4D6をふってそのうち3Dを選ぶ方法とポイントバイによる割り振り法があってDMの選択制。
基本クラス
The Strong Hero/The Fast Hero/The Tough Hero/The Smart Hero/The Dedicated Hero/The
Charismatic Heroの6つ。想像どおりそれぞれ基本能力値STR/DEX/CON/INT/WIS/CHAに対応した活躍を念頭においたクラス。それぞれ「Talent」というD&Dでいうクラスフィーチャーに該当する能力を習得するが、Tree状になっていて選択習得制。このTalentTreeの選択とBonusFeatの選択によって同じクラスでもかなりバリエーションがでてくると思われる。
Starting Occupations
D&Dと最も違う点その1。キャラ作成時にStarting Occupations(初期職業とでも言おうか)を一つ選ぶ。これによっていくつかのスキルが半永久的にクラススキル扱いになったり、ボーナスフィートを貰ったり、ReputationBonusやWealthBonus(後述)が入ったりする。
ActionPoint
D&Dと最も違う点その2。ActionPointという一種のヒーローポイントが存在する。D20の振りなおし、D20の出目に1D6を追加して達成値上昇、一部Talentの発動などに使用。キャラ作成時は5点で、以後レベル5点強上昇。
ReputationBonus
D&Dとちょっと違う点。Reputation(名声・評判)がある程度ルールで定められている。ReputationCheckに成功すると相手がこちらが何者であるかに気付いてDiplomacyとかに修正が入ったりする。
WealthBonus
D&Dと激しく違う点その1。D20MODERNでの買い物はWhealthCheckというD20+WhelthBonusロールで行う。WelthBonusはStartingOccupationやFeat、初期の2D4ロールなどで決定。物やサービスごとにPurchaseDCというのが決まっていて、そのWhelthCheckでそれ以上の値をだせばアイテムゲット。報酬としてWhelthBonusが上昇し、あんまり高いものを買うとWhelthBonusが減少する。ちなみに7章に値段とPurchaseDCの対応表も存在。
2:Skills/3:Feats
運用法はD&Dと基本的にかわらない。スキルポイントやFeatを手に入れる量がD&Dと比べて増えているが、その分スキルとフィートの絶対量と重要度が上がっている。キャラクターシートで数えた所、スキルが41種類でフィートが95種類載っている。
4:Equipment
装備品。いうまでもないがD&Dとは全然違って現代風。銃や乗り物がいっぱいのってるが詳しくないのでよくわからん。なお、値段は全部PurchaseDCで表記されてる。
5:Combat
戦闘ルール。ほとんどD&Dと同じだと思われる。違うのは…
・ACの算定の際に各クラスにDeffenceBonusというのがあり、これはレベルがあがると上昇していく事。
・StandardActionとよんでいたものがAttackActionとよばれている事。(中身はあんまり変わってない)
・MoveActionとMove-EquivalentActionだったのがMoveActionと統一されてる事。(おなじく中身はあんまりかわってない)
・MassiveDamageが正式採用されている事。
・Viecle戦闘が大幅に取り上げられている事。
といった所でしょうか? あとは詳しく読みこまないとなんとも。
6:Advanced Classes
D&DでいうところのPrestige Class。12種類のAdvanced Classが紹介されている。Soldier/MartialArtist/Gunslinger/Infiltrator/Daredevil/Bodyguard
/FieldScientist/Techie/FieldMedic/Invetigator/Personality/Negotiator
見た感じどれも3-4Lvで転職できそう。
後半はGM用。
7:Gamenastering
GMの心得やEncounterLevelの表など、DMGに収録されてるような事がだいたい載っている。
8:Friends and Foes
NPCや敵キャラ用のCreatureデータ。GoblinだのKoboldなどのおなじみのやつらや、DNA操作した半獣人などいろいろ載ってる。何を使うかはGMとキャンペーンセッティング次第。結構笑えるイラストが多いので一見の価値あり。一応WotCのD20サイトでみれます。
http://www.wizards.com/default.asp?x=d20modern/article/20021109a
個人的にGnollのおやびん(?)のイラストが好き。あとイルカ獣人。
9:CampaignModels
最初に紹介したので割愛。
10:FX Abilities
映画だったら特殊効果を使わなきゃ再現できないような、呪文、超能力、マジックアイテムの類のデータがまとめられている。
総評
基本はD20なので良くまとまったシステムだろうけど、D&D以上に世界観のないプレーンな仕上りなのでコメントしづらいよ。「D20システムで普通に刑事物や現代物をやりてー!!」という衝動に駆られた時は問題ないだろうけど「○○(映画や漫画のタイトル)みたいなことをやりてー!!!」となると、その世界観にあわせてモンスターやアイテムなどのデータ調整をしなきゃいけないのでプレイまでの敷居がちょっと高いかもしれないよ。っていうか個人的欲求としてサイバーもの(近未来もの)の要素が足りないよ。以後のサプリメント発売など、各社がしっかり対応してくれれば期待できると思います。[d20:324〜328]
補足しとくと、キャラクターレベルは20まであるのに、クラスレベルは基本クラス含めてみんな10が上限ってのがあるよ。だからD&Dよりも露骨にマルチクラスを前提としてるって印象があるね(Advanced
Classも敷居が低めだし)。
あと戦闘時、銃器の扱いがD20クトゥルフやD20 Star Warsよりも弱めになってて、連射はFeatが無いとできなくなってしまってるよ(連射時も、攻撃を複数回するんでなくダメージダイスを増やすってものになってる)。おかげで近接武器に強いStrong
Heroが活躍できるんだけど。
銃火器や乗り物類はちょっと(どころじゃなく)物足りないなぁ。拳銃17種(メジャーどころは揃ってるけど、スーパーレッドホークがなかったり、古めの銃がないのはどういうことか)、大型銃器16種、重火器(マシンガンとかグレネードガンとか)4種、その他(手投げ、投射武器)8種、爆弾・手榴弾系9種、火炎瓶&酸、近接武器25種、防具12種、航空機4種、乗用車11種、バイク3種、戦車5種など銃火器だけはGreen
RoninのUltramodern Firearms: A D20 Modern Sourcebookがあるからいいんだけども、ダッヂ・ネオンがあるのに、ダッヂ・ヴァイパーが無いのは何でよ?とか思ったり。Web
Enhancementで気休め程度にデータが追加されてるけど、RPG-7やクレイモア対人地雷があってもなぁってところ。
アイテム類が足りないのは引っかかるけど、自分や友人は常々ハリウッド的ガンアクションを楽しめるシステムを探してたので、十分満足の行くデキになってるよ。個人的には★★★★☆。[d20:330]
ツッコミ入れます。massive damageは無印D20にもあります。
http://www.wizards.com/d20/files/srddeathdyinghealing.rtf
要は一撃で大ダメージもらうとST判定。失敗したら即死。ちなみに、CoCでは人間は簡単にマッシブダメージで死にます。 例:20フィート以上の高さから落ちれば死ぬ可能性あり。T20にはマッシブダメージルール無し。D20のマッシブダメージを適用するとチェックする前にほぼ死ぬから。
ModernはSRDしか見てないけど……。
http://www.wizards.com/d20/files/msrddeathdyinghealing.rtf
・発生条件はキャラクター能力値依存。
・Featによってマッシブダメージ発生率を減らせる。
・マッシブダメージで死ぬことは無い。
CoCよりぬるく、無印D20よりは発生しやすいが結果はぬるい。[d20:333]
Green RoninのUltramodern Firearmsが重火器関係のサプリメント(ハードバック、160p)な。既に発売中ぽいよ。[d20:341] |